3.22. ファイアウォールの設定

Red Hat Linuxはシステムセキュリティを強化するファイアウォール プロテクションを提供します。ファイアウォールは、 コンピュータとネットワークの間に存在し、ネットワーク上の リモートユーザーがこちら側のコンピュータ上のどのリソース にアクセスできるかを決定します。ファイアウォールが適切に 設定されていれば、システムのセキュリティは大幅に向上します。

図 3-20. ファイアウォールの設定

システムに適切なセキュリティレベルを選択してください。

を選択すると、システムは明確に指定 されていない接続(デフォルト設定以外)は受け付けません。 デフォルトでは、次の接続のみ許可されます。

  • DNS応答

  • DHCP — DHCPを使用するネットワークインターフェイスは 正しく設定されます。

を選択すると、ファイアウォールは 以下を受け付けません。

  • アクティブモードの FTP(大半のクライアントでデフォルト使用 になっているパッシブモードのFTPは動作します)

  • IRC DCCファイル転送

  • リアルオーディオ

  • リモートX Window System クライアント

システムをインターネットに接続はしているが、サーバーを稼働する 予定がない場合は、これが最も安全な選択です。追加サービスが 必要な場合は、カスタマイズ を選択 して特定のサービスだけファイアウォールを通過させることが できます。

注意注意
 

インストール中に、中レベルまたは高レベルの ファイヤーウォール設定を選択している場合は、ネットワーク認証 の方法(NIS と LDAP)は使えません。

を選択すると、ファイヤーウォールは、 リモートマシンによるシステムの特定リソースへアクセス を許可しません。デフォルトでは、次のようなリソースへの アクセスが許可されません。

  • 1023未満のポート — FTPSSHtelnet HTTPNISなど、ほとんどのシステム サービスで使用されている標準の予約済みポート。

  • NFSサーバーポート(2049) — リモートサーバー、 ローカルクライアントのいずれもNFSが無効になります。

  • リモートXクライアント用のローカル X Window System 表示

  • X フォントサーバーポート(デフォルトでは、 xfsはネットワーク上でリッスンしません。 フォントサーバでは無効です。)

RealAudio などのリソースを許可する一方で、通常のサービスへのアクセス を阻止したい場合は、を選択します。 特定のサービスをファイヤーウォールに通過させるには、 カスタマイズを選択します。

注意注意
 

インストール中に、中レベルまたは高レベルの ファイヤーウォール設定を選択している場合は、ネットワーク認証 の方法(NIS と LDAP)は使えません。

ファイヤーウォールなし

「ファイヤーウォールなし」を選択すると、システムへの完全な アクセスを許すことになり、セキュリティチェックがありません。 セキュリティチェックは一定のサービスに対するアクセスを無効化 します。これは、信頼できるネットワーク(インターネットではない) 上で稼働しているか、または後でファイアウォール設定を計画 している時のみ選択してください。

カスタマイズを選択して、信頼できる デバイスを追加したり、追加の受信サービスを許可することが できます。

信頼できるデバイス

信頼できるデバイスのいずれかを選択すると、 そのデバイスはファイアウォールの規定から除外されて、その デバイスからの通信はすべてシステムにアクセスできることに なります。例えば、ローカルネットワークを稼働しているが、 PPPダイヤルアップでインターネットに 接続している場合、 eth0をチェックすると、ローカルネット ワークからのすべての通信が許可されます。eth0 を信頼できるデバイスとして選択すると、 イーサネット上にすべての通信が許可されることになりますが、 ppp0のインターフェースはファイアウォールでブロックされた ままです。あるインターフェース上の通信を制限したい場合は、 チェックを入れない(未選択の)ままにしてください。

インターネットなど公開ネットワークに接続してあるデバイスを 信頼できるデバイス に選択することは 推薦できません。

侵入を許可

これらのオプションを有効にすると、特定サービスにファイア ウォールの通過を許可することになります。 ワークステーション のインストール中には、これらのサービスのほとんどはシステム にインストール されないので注意して ください。

DHCP

受信するDHCP照会と応答を許可すると、IPアドレスの決定にDHCPを 使用するネットワークインターフェイスはどれも許可することに なります。通常、DHCPは有効になっています。DHCPが有効になって いない場合は、コンピュータはIPアドレスを取得することが できません。

SSH

Secure SHell (SSH) はリモートマシンにログインしてコマンドを実行するための ツール群です。SSHツールを使用し、ファイアウォールを通過 してマシンのアクセスを計画している場合は、このオプション を有効にします。SSHツールを使用して遠隔操作でマシンにアクセス するためには、openssh-serverパッケージ がインストールされている必要があります。

Telnet

Telnetはリモートマシンにログインするためのプロトコルです。 Telnet通信は暗号化されず、ネットワーク盗聴に対して安全ではありません。 Telnetの受信を許可することは推薦できません。Telnetの受信を 許可したい場合は telnet-serverパッケージを インストールする必要があります。

WWW (HTTP)

HTTPプロトコルはwebページを提供するために、Apache (及び、他の Webサーバー)によって使用されます。自分のWebサーバーを 公開する予定がある場合は、このオプションを有効にします。 ローカルのwebページを見たり、webページ開発をしたりするのに このオプションは必要ありません。webページを提供するには httpdパッケージをインストールする 必要があります。

WWW (HTTP)を有効にするだけでは、 HTTPのポートは開けません。HTTPを有効にするには、 他のポートのフィールドで指定 する必要があります。

Mail (SMTP)

リモートホストがメール配信ため直接自分のマシンに接続できる ように、ファイアウォールを通過させ受信メールの配信を許可 させたい場合は、このオプションを有効にします。POP3 や IMAPを使用してISPサーバーからメールを受信したり、または fetchmailなどのツールを使用 している場合は、このオプションを有効にする必要はありません。 不適切な設定のSMTPサーバーは、リモートマシンがこちらのサーバーを 使用してスパムメール送信できる許可を与える可能性があるので 注意してください。

FTP

FTPプロトコルはネットワーク上のマシン間でのファイル転送に使用 されます。自分のFTPサーバーを公開する予定がある場合は、この オプションを有効にします。このオプションを有効にするには vsftpdをインストールする必要が あります。

他のポート

他のポートフィールドにポートを登録する ことによって、 リストにはないポートにアクセスを許可する ことができます。port:protocol フォーマットを使用します。例えば、IMAPにファイアウォールを 通過させてアクセスを許可する場合は、imap:tcp を指定します。また、ポート番号を明確に指定する こともできます。ファイアウォールを通過させてポート1234上に UDPパケットを許可するには、1234:udp と入力します。複数のポートを指定する場合は、コンマで区切り ます。

ティップヒント
 

インストールを完了した後で、 セキュリティレベル設定を変更するには、 セキュリティレベル 設定ツールを使用します。

シェルプロンプトでredhat-config-securitylevel とタイプしてセキュリティレベル 設定ツール を起動します。root以外で操作している場合は、 続行するのにrootパスワードを要求されます。