3.20. ブートローダーの設定

ブートディスクを使用せずにシステムをブートするためには、 通常、ブートローダーをインストールする必要があります。 ブートローダーはコンピュータがスタートするときに最初に 実行するソフトウェアプログラムです。これは、ロードと オペレーティングシステムのカーネルソフトウェアへコントロールを 渡す役割をします。その後はカーネルがオペレーティングシステムの 残りの機能を始動します。

インストールプログラムが提供する2つのブートローダー、 GRUBとLILOからどちらかを選択できます。

GRUB(GRand Unified Bootloader)、はデフォルトでインストール されている強力なブートローダーです。GRUBはさまざまな無償 オペレーティングシステムをロードすることができ、また チェーンローディング(別のブートローダでロードするDOS や Windowsなど、サポートしていないオペレーティング システムのロードをするメカニズム)で商業用のオペレーティング システムもロードすることができます。

LILO(LInux LOader)は、Linux用の多様性のあるブートローダー です。特定のファイルシステムに依存せず、フロッピーディスク やハードディスクからLinuxカーネルイメージをロードすること ができます。また、他のオペレーティングシステムもブート することができます。

図 3-16. ブートローダーの設定

GRUBをブートローダーとしてインストールしたくない場合は、 ブートローダーを変更をクリックします。 それから、LILOを選択するか、あるいはブートローダーは何も インストールしないように選択できます。

Linuxをブートできるブートローダーをすでに使用していて、 現在のブートローダーを上書きしたくない場合、または、 ブートディスクを使用してシステムをブートする予定の場合は、 ブートローダーを変更ボタンを クリックしてブートローダーをインストール しないを選択します。

注意重要
 

なんらかの理由でGRUBあるいはLILOを インストールしない選択を選ぶ場合は、システムを直接 起動できません。他の起動手段(例えば、ブートディスクなど) を使う必要がでてきます。システムを起動する他の方法が 明確にわかっている時のみ、このオプションを選んでください。

ブートディスクの作成は、インストール手順の最後の方に あります(詳細については項3.30を 参照してください)。

他のオペレーティングシステムに使用されるパーティションを含む ブート可能なすべてのパーティションが一覧にあります。 システムのルートファイルシステムを格納してあるパーティション にRed Hat Linux(GRUB用)または linux(LILO用)のLabelが あります。 他のパーティションにもブートラベルを持たせることができます。 インストールプログラムによって検出された他のオペレーティング システムのブートラベルを追加、または変更したい場合は、 そのパーティション上でクリックして選択します。選択したら、 編集ボタンをクリックするとブート ラベルを変更できます。

目的のブートパーティションの横にあるデフォルト を選択してデフォルトでブートするOSを選びます。 デフォルトブートイメージを選択しない限り、インストールを 進めることができません。

注意注意
 

Label欄には、 目的のOSでブートするために、ブートプロンプトで入力すべき ブートローダー名がテキストで一覧表示されます。

GRUBブート画面をロードした後は、矢印キーを使用してブート ラベルを選択するか、または[e]とタイプして 編集します。選択したブートラベル用の設定ファイルに項目一覧 が表示されます。

LILOの グラフィカル画面で、[Ctrl]-[x ]を押して、boot: プロンプトへ 行きます。システムに定義づけしてあるブートレベルを忘れた 場合は、プロンプトで[Tab]を押せば、いつでも 定義されているブートレベルの一覧を表示させることができます。

ブートローダーのパスワードは物理的にサーバーへのアクセスが 可能な環境でセキュリティメカニズムを提供します。

ブートローダーをインストールしている場合、システムを保護する ためにパスワードを設定すべきです。ブートローダーのパスワード がないと、そのマシンにアクセスできるユーザーはシステムの セキュリティに妥協して処理させるようなオプションをカーネル に渡すことができるようになります。ブートローダーのパスワード が設定されていると、標準以外のオプションを選択するには パスワードを入力しなければなりません。

システムのセキュリティを強化するためにブートローダーパスワード の使用を選択する場合、必ずブートローダーパスワード を使用とラベル付けしてあるチェックボックスを選択 してください。

選択したら、パスワードを入力して、確認のために2回目の入力を します。

ドライブの順序変更やカーネルへオプションを渡すなど、より高度な ブートローダーオプションを設定するには、をクリックする前に、必ず高度な ブートローダーオプションを設定を選択してください。

3.20.1. 高度なブートローダーオプションの設定

インストールするブートローダーを選択した後は、その ブートローダーをインストールする場所も選択することが できます。ブートローダーは次の2ヶ所のどちらかに インストールできます。

マスターブートレコード(MBR)

System Commanderなど別のオペレーティングシステムローダーを すでにMBRがスタートするようになっていない限り、ここが 推薦できるブートローダーのインストール場所です。MBRは ハードディスクの中の特殊な位置にあり、自動的にコンピュータ 内のBIOSによって読み込まれます。ブートローダーが起動 プロセスをコントロールできる最初のポイントです。MBRに ブートローダーをインストールすると、マシンが起動するときに GRUB(またはLILO)はブートプロンプトを表示します。その後、 Red Hat Linux、または起動設定している他のオペレーティング システムを起動することができます。

ブートパーティションの最初のセクター

システムにすでに他のブートローダーがある場合には、この設定を 推薦します。この場合、現存のブートローダーが先にコントロールします。 そのブートローダーがさらにRed Hat Linuxを起動する GRUB (または LILO)を スタートさせるよう設定することができます。

図 3-17. ブートローダーのインストール

システムに Red Hat Linuxしかない場合は、MBRを選択します。 Windows 95/98が存在するシステムでも、起動時に両方のOSが 起動できるように、 ブートローダーは MBRにインストールする必要が あります。

ドライブの順を変更したい場合、または、BIOSが正しいドライブ順に 戻らない場合はドライブ順を変更ボタンを クリックします。複数のSCSIアダプターやSCSI と IDEのアダプターを使用 していてSCSIデバイスからブートしたい時に、ドライブ順の変更が役に 立ちます。

LBA32の強制使用 (普通は不必要)の オプションは、/bootパーティションが1024シリンダ の境界を越えて存在できるようにします。1024シリンダの境界を越えてOS を起動するためのLBA32延長をサポートするシステムがあって、/bootパーティションを実際に1024シリンダより上に設定 したい場合は、このオプションを選択します。

ティップヒント
 

ハードドライブにパーティションを作成中、 旧システムの中にはそのBIOSがハードドライブ上の1024シリンダを越えて アクセスすることができないものがあるので気をつけてください。 このような場合、Linuxを起動させるためハードドライブの1024シリンダ までに/bootLinuxパーティション用の十分な領域を 確保してください。その他のLinuxパーティションは1024以降のシリンダで 構いません。

partedでは、1024シリンダは528MBになります。 詳細については http://www.pcguide.com/ref/hdd/bios/sizeMB504-c.htmlを参照して ください。

ブートコマンドにデフォルトオプションを追加したい場合は、 それをカーネルパラメータフィールドに入力 します。ここに入力するオプションはすべて、起動する度にLinuxカーネル に渡されます。

3.20.2. レスキューモード

レスキューモードを使用しなければならない場合、いくつかの オプションがあります。

詳細については Red Hat Linux カスタマイズガイドを参照して ください。

3.20.3. 代わりのブートローダー

ブートローダーを使用したくない場合は、いくつかの代替手段が あります。

ブートディスク

インストールプログラムで作成したブートディスクを 使用することができます(作成する場合)。

LOADLIN

LinuxはMS-DOSからロードすることもできます。しかし、 この方法ではMS-DOSのパーティション上でLinuxカーネルのコピー(及び SCSIアダプタがある場合は初期RAMディスク)が使用可能である必要が あります。これを実践する唯一の手段は、まず、他の起動法(例:ブート ディスク起動)でRed Hat Linuxシステムを起動して、カーネルをMS-DOSの パーティションにコピーすることです。LOADLINは以下のサイト、

ftp://metalab.unc.edu/pub/Linux/system/boot/dualboot/

や関連したミラーサイトから入手できます。

SYSLINUX

SYSLINUXはLOADLINによく似たMS-DOSプログラムです。 SYSLINUXは以下のサイトから

ftp://metalab.unc.edu/pub/Linux/system/boot/loaders/

や関連したミラーサイトから入手できます。

市販のブートローダー

市販のブートローダーでLinuxをロードすることも できます。例えば、システムコマンダーやパーティションマジックの どちらもLinuxを起動することができます(しかし、その場合でもGRUB または LILOをLinux rootパーティションにインストールする必要が あります)。

注意注意
 

LOADLIN や システムコマンダーはいずれも他社のブートローダー とみなされ、Red Hatのサポートには含まれていません。

3.20.4. SMPマザーボード、GRUBとLILO

このセクションは 特にSMPのみを取り扱います。シンメトリック マルチプロセッシングの短縮名であるSMPは、複数のCPUを使用できるように して別々のプロセスを同時に(マルチプロセッシング)完了する高速 パフォーマンスを提供しているコンピュータ構造です。

インストールプログラムがシステム上にSMPマザーボードを検出 すると、自動的に2つのブートローダーエントリを作成します。

注意注意
 

Intel® Pentium® 4 のハイパースレッドを持つシステムは、デフォルトでSMPカーネルがインストールされています。

2つのGRUBエントリとは、 Red Hat Linux (kernel version)Red Hat Linux (kernel version-smp)のことです。デフォルトでは Red Hat Linux (kernel version-smp)が起動します。しかし、 SMPカーネルに問題がある場合は、代わりにRed Hat Linux (kernel version)エントリで起動するように選択できます。それまでの 機能はすべて残りますが、1つのプロセッサのみで動作することになります。

2つのLILOエントリとは、linuxlinux-upのことです。デフォルトでは、 linuxエントリが起動します。しかし、 SMPカーネルに問題がある場合は、代わりにlinux-upエントリで起動するように選択できます。機能は以前と 同じですが、1つのプロセッサのみで動作することになります。